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数珠について

男性数珠とは多くの小さな珠に糸を通し輪状にした法具(仏具)の事です。仏教のお経や念仏を唱える際に回数を数える道具として用いられており、念珠と呼ばれる事もあります。珠の数は煩悩を表す数の108個が基本と言われていますが実際は持ちやすいように半分の54個や4で割った27個などの様々な種類があります。各宗派で決められている数珠は「本式数珠」と言い、各宗派ごとに数珠の形や色・房などが異なります。宗派によっては、男性用と女性用で異なる事もありますので注意が必要です。
今回の記事では、数珠について詳しくお伝え致します。


数珠の種類

数珠数珠の種類は、各宗派によって形が異なる本式数珠・宗派に関係なく使える略式数珠に分けられます。本式の数珠は、煩悩の数である108個の主珠を親珠で繋ぎ親珠から房を垂らして弟子珠と露珠を並べた形式が一般的です。この108個の珠に煩悩を司る仏様が宿っていて煩悩の数だけお経を唱える事で人間のあらゆる煩悩を引き受けてくれるとされています。108個の珠の中に四天珠と言われている他の珠よりも少し小さい珠が4つあり、本式の数珠はこれらが一連であるか二連、または金属の輪が付いているかなどの違いによって各宗派特有の数珠となります。
略式数珠では、本式数珠と同様に珠と親珠・房があるのは共通ですが四天珠ではなく2つの二天珠があります。また、珠の数に決まりはなく本式数珠よりも少ない事が多いです。基本は男性が大きめの珠で作られた数珠・女性が小さめの珠で作られた数珠を使用します。近年ではどの宗派のお葬式に出ても使える様にと略式数珠を購入する方が増えてきています。

数珠の素材

数珠の素材については、木の珠と石の珠が使用されているものがあり、種類によっても様々な色があり宗教や宗派・地域によっては違いますが略式数珠の場合は冠婚葬祭の場面で使うと決められた色は特になく基本的にはどんな色でも構わないとされています。
木の珠はお釈迦様が悟りを開いた場所にあった木とされる菩提樹の木や実が使われます。石の珠では白や赤の珊瑚または水晶でできた珠が多く、そちらは慶事に好まれる傾向があります。ですが、東海や北陸地方では葬儀には無色の珠に房は白、法事には色物の珠で房も色物と使い分け、京都のある地域ではお葬式でも赤い数珠を使うといった様に風習がある地域もありますので慣れない土地のお葬式に参列する場合は事前に確認をした方が良いでしょう。

一般的な数珠の持ち方や使い方

宗派ごとに男性と女性とでは数珠が異なる場合がありますが、略式数珠を使用する際には多くの宗派で共通の持ち方があり一般的な数珠の持ち方としては男性も女性も共通とされています。また仏壇での数珠の持ち方や弔事での数珠の持ち方・告別式の数珠の持ち方も基本的には同じとなります。また、数珠の持ち方は線香を備える際も通夜の際、法事の際も基本的には同じとなります。数珠の種類によって数珠の扱い方が異なりますのでその点については注意が必要です。

片手数珠の場合
左手に輪を通して合掌
合掌した両手に輪をかける
振分数珠の場合
数珠を二重にし、左手に輪を通して合掌
数珠を二重にして合掌した両手に輪をかける

宗派ごとの数珠

白日本の仏教には数多くの様々な宗派が存在します。宗派によってご本尊やお経、作法もそれぞれ違うように各宗派で決められている本式数珠は、数珠の形や色、房などが異なりますので注意が必要です。
それでは宗派ごとの数珠の種類について具体的にお伝えしていきます。

浄土宗(浄土専念宗)の数珠
浄土宗の数珠は本式数珠でも珠の数は108玉ではなく二つの輪を交差させ一つに繋いだような独自の形が特徴です。日課数珠・百八数珠・荘厳数珠の三種類があり、一般の檀家・信徒は日課数珠を使います。男性用と女性用は玉数と大きさが異なるので注意が必要です。念仏の数を数えられるような形になっていて、決められた形式で数珠の玉数に沿って数えていくと男性は3万2千4百回・女性は6万4千8百回唱えられる為、男性用は三万浄土・女性用は六万浄土とも言われています。
浄土真宗(本願寺派)の数珠
浄土真宗は煩脳具足そのままで救われる教えである為、数珠を操ることで煩悩の火を消す必要がないということから数取りができない様に房が蓮如結びになっています。数珠の選び方には形や数に対する決まりはありません。
創価学会の数珠
創価学会の数珠は珠の数が108個・房が白房であるのが特徴です。創価学会の数珠専門店で購入する事を勧められる事が多いそうなので学会員の方に事前に相談された方が安心です。
真言宗の数珠
真言宗は他の宗派に比べてお念珠を大切にするという傾向があり種類についても重要視しています。振分数珠とも言われ、主玉108個の他に親玉・四天玉(四菩薩)からなる二重の形状で房は菊房で表と裏があります。男性用と女性用は同じ形状なのですが大きさだけ異なります。
真宗大谷派の数珠
真宗大谷派の数珠は浄土真宗と同じ様に数取りができないように房が蓮如結びになっています。数珠の選び方に形や数に対する決まりはありません。
日蓮宗の数珠
日蓮宗の数珠は珠の数が108玉で出来ていて珠の一つ一つに珠数曼陀羅があり、多くの種類がありますが大きく分けると勤行数珠・装束数珠の二つになります。一般の檀家・信徒は勤行数珠を使い、僧侶は普段は勤行数珠・法要などの儀式の際には装束数珠を使います。
曹洞宗の数珠
曹洞宗の数珠は主珠が108玉で数珠に金属の輪が通っているのが特徴です。曹洞宗は禅宗なのでお念仏やお題目を唱えず座禅を重んじていますので数珠に対しての厳しい規定はありません。
臨済宗の数珠
臨済宗の数珠は曹洞宗と作りや房は同じですが金属の輪がありません。男性用には紐房・女性用には頭付房が付いています。禅宗なのでお念仏やお題目を唱えず座禅を重んじていますので数珠に対しての厳しい規定はありません。
天台宗の数珠
天台宗の数珠は主珠108個で主珠は平珠であるというのが特徴となり、房には20個の平珠と10個の丸珠が付いています。天台宗の数珠には大きく分け、9寸サイズ・8寸サイズ・大平天台の3種類があり、男性は9寸サイズ・女性は8寸サイズ・僧侶は大平天台を持ちます。

宗派ごとの数珠の持ち方や使い方

各宗派で決められている本式数珠は、数珠の形や色・房などだけでなく持ち方や使い方が異なりますので注意が必要です。ここからは宗派ごとの数珠の持ち方や使い方について具体的にお伝えしていきます。

浄土宗(浄土専念宗)の場合
浄土宗(浄土専念宗)の場合は合掌をする際の数珠の持ち方は両手の親指に二つの輪を揃えて掛け、房を手前へと垂らしたら親指を揃えた数珠を押さえます。念仏を唱える際は副玉が入っていない方の輪を左手の親指と人差し指の間に掛け、副玉が入っている方の輪を左手の人差し指と中指に挟みながら握り念仏を唱えます。また念仏の度に副玉の入っていない方の玉を親指で手前に手繰り寄せます。
浄土真宗(本願寺派)の場合
浄土真宗の場合は本願寺派(西本願寺)と真宗大谷派(東本願寺)で持ち方が異なるので注意が必要です。西本願寺であれば房を下に垂らす様に二重に巻き両手を合わせます。数珠を持つ際は左手で持ち房を下に垂らします。東本願寺の数珠であれば両方の親玉部分が上にくるように二重に巻き両手に掛け左手側に房を垂らします。双方、合掌の際は数珠を両手にかけ親指で軽く上から押さえ指の間を閉じます。合掌した手は胸の前で指は斜め45度程上に来るように構えます。
創価学会の場合
創価学会の場合は数珠が長い際であれば数珠を半分に畳むように持ち、三ツ房が右側・二ツ房が左側に来る様に手に掛け合掌をします。
真言宗の場合
真言宗の場合は持ち歩く際や座っている際の数珠の持ち方は左手で親玉を上にし二重にするようにしてして掛けて房を握るようにして持ちます。合掌の際は両方の中指に数珠をかけ、そのまま手を合わせて合掌をします。その際、自分の為の行の時は房を手の平の内側に入れそのまま房を包むように合掌し、合掌した手を擦り合わせ音を立てて使います。
真宗大谷派の場合
真宗大谷派の場合は数珠を二重に巻き親玉が上に来るようにし房を上にして合掌した両手に掛けます。房は左手の甲の方へ垂らします。
日蓮宗の場合
日蓮宗の場合はお唱えをする際や回向をする際は輪を八の字に捻じり、二本の房が出ている方を右手の中指にかけ三本の房が出ている方を左手の中指に掛け房は手の甲側に垂らして手を合わせます。特に念を込める際には両手に掛ける場合もあります。また手に持って移動等する際は二重にして左手に持ちます。
曹洞宗の場合
曹洞宗の場合は合掌の際の持ち方は右手を添える様に合わせ、房を下に垂らす様に輪を二重にし親玉が左手の人差し指の上になる様に掛けて両手を合わせて合掌します。なお、座禅を重んじているので記載した事柄以外の数珠に対する作法や規定は存在しません。
臨済宗の場合
臨済宗の場合は合掌の際の持ち方は輪を二重にし左手に掛け右手を添えるように合わせ、房を下に垂らして両手を合わせて合掌します。なお、座禅を重んじているので記載した事柄以外の数珠に対する作法や規定は存在しません。同じ禅宗である黄檗宗と真如苑の数珠の持ち方も同様です。
天台宗の場合
天台宗の場合はお参りの際は房を下に垂らし両手の人差し指と中指の間にお数珠を掛けて手を合わせます。移動する際や座っている際には小指側に房を寄せるようにして二重にして左手で持ちます。合掌の際は輪を張った状態で両手の人差し指と中指の間に数珠を挟み手を合わせます。

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