葬儀後の挨拶やお礼状・四十九日の供物について
無事に葬儀が終えた後は心身ともに疲れも出ますし一息つきたいところです。しかし、会葬してくれた方やお世話になった方へのお礼や感謝の気持ちを表す挨拶やお礼状を送ることがマナーになります。葬儀を終えたあとのお礼についてはいくつか知っておくべき事柄がありますので、しっかりと把握しておく必要があります。また、四十九日法要は、故人や遺族にとって大切な節目の法要のひとつです。お供物を持参する場合にはマナーを理解した上で準備したいものです。
今回の記事では、葬儀後の挨拶やお礼状・四十九日の供物について詳しくご紹介致します。
葬儀後の挨拶について
葬儀には沢山の方に参列して頂くことになりますので、一人ひとりに対して直接お礼を伝えるのは難しい事です。直接会うことが可能な人には葬儀が終わった後に改めて挨拶回りも行っておくとより丁寧です。
葬儀社には支払いを済ませ、お寺にはお布施を既に渡していることも多いものです。お寺(菩提寺など)に対しては後日改めて「挨拶」という名目で伺っても良いでしょう。また、近隣に住んでいる方で会葬してくださったり、香典やお供え物をいただいたりした方に対しては葬儀が終わった翌日から一週間以内の間に直接訪ね、玄関先で簡潔にお礼の言葉を述べましょう。その際に、難しい言葉や長々とした言葉を並べる必要はありませんので感謝の気持ちを簡潔に伝えることが大切です。自分の勤務先や仕事関係の方の中に会葬者がいた場合の挨拶も忘れずに行いましょう。葬儀が一段落つき出社した際に伝えることが大切です。この際にも難しい言葉や長々とした言葉を並べる必要はありませんので感謝の気持ちを簡潔に伝えましょう。
お礼状について
そもそも、お礼状はどのような意味を持つものなのでしょうか。よく混同しがちな、「会葬礼状」は通夜や葬儀に参列して頂いた方にその場で返礼品と共にを手渡すのが一般的です。会葬礼状は、葬儀当日に会葬者にお渡しするものですので、忌明けの頃に香典返しに添えて送る「忌明けの挨拶状」とはまた別となります。また、高額の香典やお供え物や弔電を頂いた方や葬儀を行う上でお世話になった方に対しては、会葬礼状とは別に葬儀後にもお礼状を送ります。
葬儀のお礼状は、葬儀が終わった後にすぐ送るものではなく、四十九日を過ぎてから送るのが良いとされています。葬儀が終えたあと急いでお礼状の作成に取り掛かろうとする方もいらっしゃるのではないでしょうか。参列された方一人ひとりに対し丁寧に手書きで書くとするのであれば葬儀が終わった段階から書き始めた方がより良いかもしれませんが、葬儀後は時間的にも精神的にも遺族の負担が増えるときですから、出す相手や数が多い場合には印刷したお礼状でも問題はありません。ご自身の体調や心情に合わせお礼状を作成すると良いですね。
お礼状に関しては手紙にしたため送るのがマナーとなります。メール(その他電子ツール)やハガキのお礼状は略式になりますので、失礼だと感じる方もいらっしゃいます。ただし、例外として親しい間柄の友人などであれば、くだけた口調にするのではなく最低限のマナーを守りながらであればメール(その他電子ツール)やハガキのお礼状でも可能な場合もあります。
お礼状を作成するのは、誰にお礼状を出すべきなのかをリストアップするなどしておくことをお勧めいたします。リストにしてチェック形式にしていけばうっかり送り漏れしてしまった…といったことを事前に防ぐことが出来ます。
また、お礼状といっても葬儀の喪主になる機会はそんなに多くありませんし何を書いたら良いのかわからないという方も多いと思います。お礼状には長々とかしこまった文章を書く必要はありませんが、具体的にどの様な内容を書いたら良いのかをご紹介します。
会葬してくださった方々は、多忙の中時間を割いてお越しになってくれています。ご香典だけでなくお供え物を頂く場合もあるでしょう。このようなお気持ちに対しお礼の言葉を添えることが大切です。遠方からお越しいただいた方に関しては手書きで感謝の意を伝えると尚良いでしょう。また、誰の葬儀に対するお礼状なのかがはっきりと分かるようにしなければいけませんので、お礼状の最初に故人の名前を書くのが一般的になります。俗名になるので、亡父・亡母・亡祖父・亡祖母・故〇〇といったような書き方で構いません。この際に戒名(法名)が付けられている場合であれば故人の名前と併せて戒名(法名)も記載しておくと良いでしょう。
本来であれば、会葬してくださった方や香典やお供え物をいただいた方に対してのお礼は直接言うのがベストです。しかし、参列者が多い場合などにはやむを得ず書面のみでの挨拶となってしまうこともあるかと思います。特に遠方からお越しいただいた方に関してはお礼状のみで済ませる場合が殆どになりますので、書面での挨拶についてのお断りをしっかりと記載しておきましょう。
最後に、お礼状にはいつのものであるのかを記載する必要があります。法要日に関しては参列された誰もが認識していることであるので省略する場合も少なくはありません。本来、香典返しは四十九日を過ぎた後に送るのが一般的ですので、現在ではお礼状と一緒に郵送することになります。また、近年では葬儀当日に持ち帰っていただくことも少なくありません。ただし、香典の金額に応じて後日、改めて送る場合もあることも覚えておきくと良いでしょう。お礼状には香典返しの品を送ることについてのお断りなども記載しておきます。
どの内容についても共通して言えることですが間違いはマナーを逸脱しています。お礼状を送る前に書き間違いや抜け字がないか等をしっかりと確認しておきましょう。
注意点について
お礼状は基本的に先にご紹介した内容を文章にすれば問題ありませんが、いくつかのマナーが存在します。まずビジネスレター等と大きく違うのが、時候の挨拶は不要という事です。一般的に手紙で使用する「拝啓」や「敬具」を書くことはありますが、両方書かずに略儀で済ませることも少なくありません。葬儀が終わった後に出すお礼状にも忌み言葉や重ね言葉を添えることはマナー違反になりますので言葉選びには十分に注意しましょう。忌み言葉については当HP内「忌み言葉について」で詳しくお伝えしていますので併せてご確認ください。忌み言葉や重ね言葉以外にも、言葉で気を付ける点は宗教・宗派に応じて正しい表現をしなければいけないという点です。「忌明法要」や「四十九日法要」といった言葉は、仏教で使用される言葉ですし、同じ仏教でも西日本の地域では「満中陰法要」などと呼ぶところもありますので事前に確認しておくと安心です。具体的に四十九日法要に相当する名称は、仏教では四十九日法要・忌明法要・満中陰法要(主に西日本)、神道や天理教では五十日祭、キリスト教ではカトリックの場合は追悼ミサ、プロテスタントの場合は記念式・記念集会となります。
また、つい忘れがちなのが句読点を使用しないという点です。葬儀が終わった後に出すお礼状や喪中はがきなど弔事に関連する文書にも句読点を使用しないのが通例化していますが、お礼状においては句読点を付けないことが正しいという決まりがあるわけではありませんので、句読点をつけていてもマナー違反ではないので気になる方は句読点を使用しない方が無難です。
一般的には故人と親しい間柄であった方には葬儀の案内をすることになりますが、諸々の事情により葬儀を知らせていない方もいらっしゃる場合もありますね。そうした場合には、お礼状を出す事はかえって相手に気を使わせてしまったり、不快に感じてしまうこともありますので基本的には出さない方が良いでしょう。故人が亡くなった旨を葬儀が終わった後に知らせた方が良い場合もあります。そうした場合には参列されていないにも関わらずお礼状という形で出すのは失礼に当たりますので、お礼状としてではなく葬儀の案内を出さなかった理由を添え故人が亡くなった旨を伝える手紙を送ると良いでしょう。
四十九日とお供物について
始めに四十九日について簡潔にお伝え致します。四十九日とは「命日から数えて49日目に行う追善法要」のことを指します。仏教では人が亡くなるとあの世で七日毎に極楽浄土へ行けるかの裁判が行われ、その最後の判決の日が四十九日目とされています。
四十九日のお供物の種類については、後に残らない消えてなくなる品、いわゆる「消えもの」が良いとされています。地域によっては供養の一つとして、持ち寄られた供物を最後に出席者全員で分け合う場合もある為かさばらず分けやすい物が適しています。ですから、最初から小分け包装されていない物や重たいものは避けた方が無難と言えるでしょう。食べ物を選ぶ場合には日持ちを重視しましょう。特に夏場は劣化も早いですから、果物であれば実の堅いもの、お菓子であれば賞味期限が最低でも1~2週間はあるものが良いでしょう。ここからは種類別に供物について詳しくお伝え致します。
- お菓子
- 供物としてよく選ばれるのがお菓子です。和洋でもどちらでも問題はありません。故人が好きだったお菓子を用意する方が多く、また個包装になっているタイプが喜ばれます。これは、法要後に「御下がり」としてお供えされているものを参列者に配るケースがある為です。
- 線香・ろうそく
- 線香やろうそくもお供えの定番です。その煙は極楽浄土への道しるべともいわれ、仏事にも使用できるので遺族の方にとっても負担になりにくい供物のひとつです。近年では線香に香料が入っている物や煙の少ない物、ろうそくで食べ物などを模した好物ろうそく等、様々な商品が売られていますから、購入する前に遺族の好みを把握しておくと良いでしょう。
- 花
- 花は、祭壇を飾るという大切な役割を担う為、お供えに相応しい品のひとつです。四十九日が過ぎるまでは白を基調とした淡い色合いの花がよく選ばれます。中でも白菊が最も無難ですが、故人の好きだった花を用意しても問題ありませんから近年では洋花を贈ることも増えてきている他、アレンジメントされた花を贈ることもあります。アレンジメントされた花は花瓶を用意する必要がなくそのまま飾れるという点でも多く選ばれるようです。また、手入れが不要で長持ちするブリザードフラワーや造花を使ったお供え用のアレンジメントもあります。
- 果物
- 果物をお供え物として持参する方も多くいらっしゃいます。果物はカゴ等に盛られているものを選択するようにしましょう。魂の形が丸いといわれていることに起因して果物の中でも、特にリンゴや梨・グレープフルーツ・メロンなどの丸い形状の果物が好まれます。果物の個数については、偶数は割り切れることから「故人との縁が切れる」とされることもありますので、奇数にするケースがほとんどです。死や苦を連想させる不吉な数字といわれる4・9を除いた5個~11個程度が目安です。
- お酒
- 故人が生前、お酒が好きだった場合にはビールや日本酒などのお酒をお供えすることもあります。しかし宗派や慣習によってはお酒を供物にする事は好ましくないとされる場合もありますので、事前に施主などに確認しておくと無難でしょう。
四十九日の供物を選ぶ際の注意点として、お花の場合にはバラ等の香りの強いものは避けたほうが良いでしょう。同じ理由で、果物も香りの強いものや傷みやすいものはお供え物に向いていません。お酒の場合には、故人の好きだった銘柄のアルコール類を供物とするのも良いのですが、宗派や習慣によっては注意が必要とお伝え致しましたが、他にも遺族がお酒を飲まない場合には処分にも困る為、避けることをおすすめ致します。また、仏教では基本的に殺生を禁じているので、肉や魚などの殺生を連想させる品も避けたほうが無難でしょう。ただし、どこまで厳格にするかは遺族やお寺の方針にもよりますから、故人の好みも考えどうしてもという場合には事前に相談してから用意すると良いでしょう。
金額の相場や渡し方について
お供物の金額の相場については、故人と親しい関係だった場合には5,000円~10,000円程度、一般的な関係だった場合は3,000円~5,000円程度が目安です。金額が高すぎてしまうと遺族に気を遣わせてしまいますし、低すぎても失礼にあたります。親族間で既に金額を決めていたり、地域によっても違いがありますので周囲と相談しながら金額相場を決定するのが無難でしょう。
供物の包み方については、包装紙は派手でないものを選び弔事用の熨斗を付けます。四十九日までは白黒、四十九日以降は双銀の結びきりの水引を使用します。ただし一部の地域では一周忌からは黄白の水引を使う場合もありますから地域の慣習に注意しましょう。熨斗の表書きは、四十九日であれば上段に「御霊前」と書くのが正式ですが、死後すぐ仏になると考えられている浄土真宗では「御仏前」と書きます。わからない場合には「御供・御供物」どちらかであればどの宗派でも対応可能です。下段には参列者の代表者名を名字もしくはフルネームで記入します。 夫婦で参列する場合には基本的には夫の氏名のみを載せますが、妻側の法要であれば妻の名前も併せて記入しておくのが親切でしょう。また、四十九日用は薄墨ではなく黒墨を使用して書くものとされています。熨斗は包装紙の上にかける「外のし」にしましょう。供物を渡す際には、自分で直接仏壇に置いてはいけません。施主に出迎えいただいた際に挨拶するのと同時に「御仏前にお供えして下さい」などの言葉を添えお渡しします。紙袋に入れて持参した場合には、紙袋ごと渡すのではなく中身だけをお渡しますが、風呂敷に包んで持参するとより丁寧です。その場合も風呂敷から取り出して中身だけお渡しするようにします。
郵送する場合について
四十九日法要に参列できない場合には郵送でお供物を渡します。郵送の場合には、郵送中の破れや汚れを防ぐ為に掛け紙の上にもう一枚郵送用の包装用紙を使用することがほとんどです。お店によっては包装紙やビニール袋など選べる場合もあるのでその都度相談してみると良いでしょう。四十九日の供物を送るタイミングについては一般的には法要の当日に自宅宛に郵送することが多いようですが、事前に遺族の方に「いつ・どこに郵送するのか」が好ましいか事前に伺うとより丁寧でしょう。お供えを郵送する際には、一緒に手紙を添えましょう。手紙には故人とその家族を思いやる文章を記し季節の挨拶は入れずに、忌み言葉は使用しないように注意しましょう。封筒に手紙を入れる際には二重封筒は使いません。また、四十九日法要を少人数で行うこともあります。四十九日法要に呼ばれていない場合、お供え物は不要ですが故人と深い関係だった場合であれば送っても良いでしょう。