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精進落としと葬儀における写真撮影について

お礼葬儀にまつわる料理のひとつ、精進落としは忌明けの食事を意味していましたが近年では目的やふるまうタイミングなどが変わってきています。いざという時のためにマナーや注意点などを知っておくことで余裕をもった行動ができますから、この機会にぜひ覚えておきましょう。また、近年ではスマートフォンの普及により手軽に写真撮影ができるようになってきましたが、それに伴いSNS全盛期の現代では葬儀という場でも写真を撮ったり、撮った写真をSNSにアップしたりする人がいるようですがその是非が問われています。
今回の記事では、精進落としと葬儀における写真撮影について詳しくご紹介致します。


精進落としについて

精進落とし精進落としとは遺族が葬儀で用意する食事のことを指し、お通夜の後に行われるのが「通夜ぶるまい」法要の後にふるまわれるのが「精進落とし」です。近年ではどちらも僧侶や会葬者をもてなすのが一番の目的となっていますが、参加する人や用意すべき料理の内容などが少し異なります。かつては、親族が亡くなった際には仏教の思想によって肉や魚を断ち、精進料理を摂っていました。そして四十九日の忌明けに通常の料理に戻す区切りというのが精進落としの元来の意味でした。しかし時代の流れと共にかつての意味は薄れつつあり、初七日法要の際に僧侶等をねぎらう宴席へと変わっていきました。さらに現代では、火葬場から戻った際に親族やお世話になった方へ酒食をふるまう宴席を精進落としと呼ぶのが一般的になっています。地域によっては火葬を待つ間に精進落としの会食を行うケースもあります。かつては「忌明けに通常の料理に戻す区切り」だった精進落としは、「故人への供養・参列者へのお礼とお清め」の意味が込められているのです。
先に少し通夜ぶるまいについても触れましたが、通夜ぶるまいも弔問客への感謝の気持ちを示し故人との思い出をしめやかに語る場です。かつては精進料理を振舞うのが通例でしたが、近年では特にそうした決まりはなく、肉の入った料理や寿司などが出されることが殆どです。通夜ぶるまいと精進落としの大きな違いは、通夜振舞いの席は通夜に参列した人が出席しますが料理には少し口をつける程度で退席するのが通常です。また、弔問客をもてなすのが通夜ぶるまいの席なので世話役といった裏方仕事の方は同席しません。一方、精進落としでは、列席する人数があらかじめ決まっている為、料理は個別のお膳で用意し、基本的には親族のみでゆっくりと歓談する場になります。

精進落としの流れについて

まず初めに、精進落としの流れについてご紹介致します。精進落としは始めの挨拶から始まり、献杯の挨拶・宴席をして最後は終わりの挨拶で締めます。始めの挨拶についてですが、僧侶や精進落としへの出席者が揃って着席したら挨拶を行います。挨拶をするのは基本的には喪主ですが喪主以外の方が挨拶をしても問題はありません。始めの挨拶では、葬儀準備の手伝いをしてくれた人・葬儀の参列者・僧侶などに感謝を伝え、ゆっくりくつろいで食事をしてくださいという旨も伝えます。始めの挨拶が終わった献杯の挨拶に移ります。故人に敬意を表して献杯を行いましょう。献杯は乾杯とは違い、大きな声で合図をしたり拍手をしたりということはしません。静かな声で献杯をしてください。献杯の挨拶は喪主などがする場合や、別の人を指名して献杯の挨拶をしてもらうこともあります。喪主以外の方が担当する場合には故人との関係や簡単な自己紹介をしてから献杯をします。献杯の挨拶が終わったら宴席に入ります。献杯が終わった後に進行役などからお召し上がりくださいと合図があり宴席が始まります。宴席では、故人との思い出話をして故人を偲びながら食事をします。宴席の所要時間は特には決まっていませんが、一般的には1時間半程度です。参加者の食事の進み具合などを見ながら時間を決めましょう。宴席が終わったら終わりの挨拶で精進落としを締めます。終わりの挨拶は代理人ではなく喪主や親族などの代表者が行うのが一般的です。葬儀や精進落としに参加してくれた方達への感謝をもう一度伝えて今後の法要の予定なども終わりの挨拶で伝えます。「お開き」という言葉は祝宴の時に使う言葉ですから、終わりの挨拶の際には使わないように注意しましょう。

内容や注意点について

精進落としの料理は、仕出し弁当や寿司・懐石料理などを人数分用意します。昨今はメニューについて細かい決まりは特になくなっている為、内容は自由ですが伊勢海老や鯛などお祝いの席で出されるような食材は避けましょう。精進落とし用の専用メニューを用意していたり、精進落としに合わせてメニューを作ってくれたりするお店もあります。手頃なものから高価なものまで、希望に合わせ選択できるようになっている場合がほとんどですので必要に応じて利用するとよいでしょう。また、精進落としは火葬への参列者を呼ぶのが一般的です。火葬に参列する予定の人数はあらかじめ分かりますから事前に人数分の食事の準備をしましょう。火葬に参列して貰う方たちへは予め火葬への参列の依頼の際に精進落としへの参加をお願いしましょう。全員に出席の有無を聞いておくことで、料理を準備する数を正確に把握することが可能です。精進落としには遺族や僧侶をねぎらうという意味もありますから、精進落としに参列してもらう方たちには僧侶も含みます。葬儀や法要などでお世話になっている僧侶へ参加をお願いしましょう。僧侶の都合によっては、出席を断られる場合もあります。その場合には、無理に引き止めてはいけません。食事の代わりに「御膳料」として5,000円~1万円程度、白い封筒に表書きは「御膳料」とし、お車代と一緒に渡しましょう。
精進落としの場でのマナーと配慮のあり方についてお伝え致します。遺族が精進落としについて覚えておかなければならいマナーは、出席者の席順です。僧侶が出席する場合には僧侶が最上席となり、その次に会社関係者・友人や知人・親族という席順で配列しましょう。主催者である喪主は入り口付近に席を設けます。精進落としに出席する方は、故人の死を思い浮かべるような話題は避けなければなりません。遺族は大切な家族の死や葬儀・手続きなどで心も体も疲れている可能性が高いです。遺族に対し、故人を亡くした悲しみや寂しさを気遣う心を忘れてはいけません。故人の話をする場合は生前の故人との明るい話題を心がけましょう。精進落としの場は、出席者たちで故人を偲ぶ場所ですから、ある程度くつろいだ和やかな時間を過ごすことは構わないでしょう。しかしアルコールによって気が緩みくつろぎすぎて他の出席者や遺族へ迷惑をかけないよう注意しましょう。故人を偲ぶ場所だということを頭に入れて、節度ある行動を心がけましょう。


葬儀における写真撮影について

撮影葬儀の場では、遺族の意向によって集合写真を撮る場合もあります。昔から祭壇を背にして行われる写真撮影はあり、葬儀後や出棺前など祭壇を背にして撮影されます。この際には故人の遺影が中心に写るように撮られます。この際に葬儀社に撮影を依頼せずに自分たちの中から撮影する人を選んでも問題ありません。葬儀社によっては葬儀の風景を撮影してくれるところもあるようです。お焼香をしている場面や故人と別れを告げている場面など、思い出として残すために撮られるものです。
これらの写真撮影は、遺族の了解や希望の元に行われるもので勝手に撮影されるものではないのでマナー違反にはなりません。

参列者側が写真撮影を行う場合について

先にお伝えした様な遺族の了承のもと行われる写真撮影ではなく、参列者がスマートフォンを使用して勝手に撮影をしてしまうといったような事が近年ではよく見受けられます。しかし、どれほど時代が変わってきたとは言っても遺族に断りもなく勝手に葬儀の風景を撮影するのはマナー違反と言えます。親しかった故人の顔や葬儀の様子を思い出として残しておきたいという気持ちがあったとしても、大変失礼な行為ですので絶対に行わないようにしましょう。
スマートフォンの普及と共にSNSも全盛期を迎えた現代では、写真撮影だけではなく葬儀の風景をSNSにアップしてしまう人もいるようです。葬儀の風景をSNSにアップする行為は勝手に写真撮影するよりも重大なマナー違反ですので、どんなに故人と親しかったとしても遺族に無断で写真を撮ったりSNSにアップするような行為はやめましょう。

写真撮影をする場合について

葬儀での写真撮影が遺族の方に許可された際には、節度を持って撮影を行いましょう。撮影の際にはカメラ音が出たりしてしまいますので、読経中や誰かが追悼の辞を読んでいる時などは避けるようにしなければいけません。故人の周りに花が飾られる出棺直前の時間はつい写真におさめたくなる方が多いようですが、遺族と故人が最後にお別れをする大切な場なのでどうしても撮りたい場合には一言伝え、了承して頂けた場合には多くの人が最後の別れをした後にさっと撮影すると良いでしょう。
撮影する際には、遺族の方のみでなく参列者の方への配慮を忘れずにしましょう。思い出を写真として残したいという感覚は世代によって違うものです。若い世代の方からすれば思い出を写真におさめて残しておきたい思うのでしょうが、世代が上の方からするとなんでも写真にしたがる世代の感覚に違和感を持つのも事実です。周りの人が映りこんでしまう可能性も高くSNSなどに投稿するとなると葬儀だけのマナーの問題ではなくなってきます。大切な人の最期のひととき、最大限に周りへの配慮や思いやり、マナーを守って参列しましょう。

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