一周忌法要と香典について
一周忌と一回忌は混同されやすいのですが、この2つの意味は明確に違い「一回忌」とは故人が亡くなった命日のことを指し「一周忌」とは故人が亡くなった翌年に行われる法要のことを指します。場合は相場に応じて利用者が金額を決めて渡しています。僧侶を呼ぶ際にはお布施はどのように渡すのかの知識を蓄えておくと良いでしょう。また、一周忌の法要に招かれた場合は香典を用意して参列するのがマナーです。香典袋の選び方や包む金額など迷ってしまう項目は少なくありません。
今回の記事では、一周忌と香典についてを詳しくご紹介致します。
一周忌法要準備について
一周忌法要に必要な準備についてお伝え致します。まずは法要の日程を決めましょう。候補日の二ヵ月程度前までには参列予定の親族の予定を考慮し決定します。その際には、読経をお願いする僧侶の都合も必ず確認しておきましょう。一周忌法要は自宅のほか寺院や葬儀式場などでも執り行われます。参列者の人数や会場の広さ・交通の便・予算などを総合し、どこで営むのか親族で相談して決定しましょう。会場を確保すると共に「お斎」と呼ばれる会食の準備も必要です。自宅や寺院で営む場合は、仕出し料理を注文する他、料理店に移動して会食を行うこともあります。料理を注文する際には、一周忌法要の会食であることを伝えおめでたい料理は避けてもらいましょう。菩提寺や葬儀でお世話になった寺院と参列者へ、日時・会場を連絡します。当日の会場までの交通手段についても相談しておくと良いでしょう。親族や近しい人で営む場合は電話連絡で対応できますが、会社関係者を招くなど規模が大きい場合は案内状を作成して送付する必要があります。案内状は一ヵ月前までに送付し二週間前までに出欠確認を行ないます。また、引出物の準備も必要です。一周忌の引出物は出席者が持参する香典に対しての香典返しとなります。相場は二千円から一万円程度で石けんや洗剤・タオル・日持ちする食品などが一般的です。近年主流となっているカタログギフトを活用しても良いでしょう。なお、会食を催さない場合には引出物と一緒に折り詰めの料理と酒の小瓶を渡すことが多いようです。一周忌のお布施は三万円から五万円程度が相場とされています。それに加え会場までの交通費・お車代として五千円から一万円程度をお渡します。供物は線香の他に参列者が分けられるものを選ぶのが通例です。果物や故人が好きだったものをお供えしましょう。
ここからは簡潔に一周忌法要の流れについてお伝え致します。
- 一般的な一周忌法要の流れ
- 〇僧侶の入場…祭壇を中心とし、右側が遺族・親族の席、左側が近親者・友人および知人の席です。祭壇に近い上座には故人と縁が深い人が座ります。
- 〇施主の挨拶…施主が簡潔に挨拶をします。
- 〇僧侶の読経
- 〇焼香…………僧侶からの合図後に、施主・上座に座っている人から順に焼香します。
- 〇僧侶の法話…読経後に僧侶が法話を行なう場合があります。
- 〇施主の挨拶…法要が無事済んだこと・参列に対する感謝として施主が挨拶をします。
- 〇墓参り………墓地が会場に近い場合は墓参を行なうことがあります。
- 〇会食…………参列者に加え場合によっては僧侶も一緒に「お斎」と呼ばれる会食をいただきます。
お膳の種類と配膳について
お料理を盛り付ける為に専用のお膳を用意することをおすすめします。勿論普通のお皿でも問題ありませんが、宗派ごとに盛り付ける位置が違うことや一周忌は人の目にとまることも多いので見た目もよい専用食器をご用意されるのが無難といえるでしょう。仏壇に供える専用食器を仏飯器(ぶっぱんき)といい、仏具屋の他インターネットで購入することが可能で、値段については概ね3,000円位から用意されています。仏飯器の材質は様々で、主流はプラスチック製です。他にも価格は上がりますが木製や漆塗りの製品などもあります。仏飯器の色については多くの宗派では色などに指定はありませんがいくつかの宗派では色の指定もありますから、故人の宗派に併せて購入するようにしてください。
- 宗派による色の違い
- 黒……浄土真宗本願寺派
- 金……真宗 大谷派
- 朱色…日蓮宗
なお、浄土真宗では阿弥陀仏の導きによって確実に往生を遂げ再び戻ってくるという「即特往生」の教えによりお膳を準備する考えはありません。どの仏飯器にも五つのお椀がついており、それぞれに名称がついており入れるものが決まっています。
- 五つのお椀
- ご飯を盛る為の「飯椀」
- 味噌汁やお吸い物を入れる「汁椀」
- 煮物や和え物の為の「平椀」
- 香の物(漬物)を乗せる為の「高杯」
- 和え物や煮豆を盛る為の「壺椀」
ちなみに「杯」とはお椀より浅く皿よりも深い食器のことで高杯には高めの高台が付いています。これら五つのお椀の大きさは、普段使いの食器よりもひと回り小さいサイズです。主流の大きさは五寸(15cm)から九寸(27cm)の物でご自宅の仏壇の大きさに合わせ仏飯器の大きさを決める必要があります。仏壇に入らないといったことがないように注意して購入しましょう。小さいお椀に盛り付けるのは難しいですが、材料の切り方を工夫するなどして調理することで見た目も良くなります。お椀に料理を盛り付けたらその配膳に気をつけなくてはなりません。宗教ごとに配膳の場所が違う為、宗派の配膳方法を参考にして行うようにしましょう。全ての宗派に共通することはお箸の位置です、故人から見て一番手前で飯椀と汁椀の間に置くようにしましょう。写真などで残しておくと配膳の位置とともに献立も記録することができる為便利です。
- 浄土宗の配膳
- 左前…飯椀
- 右前…汁椀
- 中央…高杯
- 左奥…壺椀
- 右奥…平椀
- 臨済宗・曹洞宗の配膳
- 左前…飯椀
- 右前…汁椀
- 中央…壺椀
- 左奥…平椀
- 右奥…高杯
- 天台宗・真言宗・小笠原流日蓮宗の配膳
- 左前…飯椀
- 右前…汁椀
- 中央…高杯
- 左奥…平椀
- 右奥…壺椀
霊供膳について
一周忌を行う為に用意する物の一つが「故人の為のお膳」です。これは故人に召し上がって頂く意味が含まれていて正式名称は「霊供膳(りょうぐぜん)」と呼ばれており、その他にも「仏膳腕(ぶつぜんわん)」や「供養膳(くようぜん)」とも呼ばれています。故人には料理の湯気や香りを召し上がってもらい冥福を祈り供養するという意味合いを持っています。宗派によっては湯気が最高のご馳走だといわれる事もあり、一周忌のお膳も故人を偲び心を込めて用意することが大切です。お膳の内容は約束事がありますから、お膳の意味も併せてご紹介いたします。
- お膳の約束事
- 一汁三菜である
- 備えてはいけない野菜がある
- 精進料理にする
日本料理の基本は一汁三菜です。そして、お膳もそのように仕立てます。つまり、ご飯類につゆ物(汁)におかずが三品(三菜)という仕立て方です。また、野菜ならばどれでも良いという訳ではなく野菜にも不向きなものがあり「にんにく・ネギ・玉ねぎ・らっきょう・ニラなど」は五辛といって匂いが強く味が強めなので避けたほうが良いでしょう。更に、仏教では生き物を殺すことを殺生と呼んで避けていることから、精進料理は牛肉・豚肉・鶏肉をはじめ、魚や卵など生き物を殺生したものは使用しない事としております。一周忌のお膳と調べると献立やレシピが出てきますから、そちらを参考にしてみると良いですね。また、形式に囚われず楽な気持ちで、故人が好きだった精進料理などを用意しても良いでしょう。お膳をいつ仏壇にお供えするのかという問題ですが、こちらについては一周忌法要をどこで行うかによっても変わってきます。一周忌は一般的には自宅・お寺のどちらかで行うことが考えられます。まずは自宅で行う場合ですが、お寺の住職が法要を始める前には仏壇にお供えしておかなければなりません。ただし、ここで注意が必要なのがあまりにも早く用意してしまうとせっかくの湯気や香りがなくなってしまいますから、それを防ぐ為にも直前に配膳するのが望ましいです。しかし、実際は来客などで慌ただしい中で直前に用意するのはとても大変な事ですから、お椀に蓋などをして可能な限り冷めない状態にしておくなど工夫すると良いでしょう。大切なのは故人様を偲ぶ気持ちですから、法要の直前に蓋を取り多少冷えてしまっても大丈夫です。次にお寺で行う場合ですが、場所を移して会食をするのが一般的です。会食会場でお膳をお供えする場合は家族が食事をする前、故人の写真あるいは位牌がある場合はその前に、ない場合でも故人のお席に対して最初にお供えをします。最初にお供えをすることも故人の為の一周忌法要であることを忘れないようにしましょう。また、会食会場では有料でお膳の準備をしていただける場合もありますから、ケースに合わせてどの選択が最善かご家族で事前に相談しておくと良いでしょう。
お膳はいつ下げるかという点ですが、湯気がなくなったら、あるいはご飯が固まる前や料理が冷たくなったら等、それぞれのタイミングで下げて問題はありません。下げたお膳は地域によっては「おさがり」として家族で残さずに食べることによって故人の供養になるとしているところもありますし、自分たちで食べ、食い供養としても構わないので料理が傷まないうちに下げることも大切です。お膳を下げる際には、写真または位牌がある場合はこれらに手を合わせ、ない場合にはお膳に手を合わせ「お下げします」と一言伝えます。
一周忌の御香典について
事前に香典を辞退する旨の案内がない限り、一周忌の法要にもマナーとして香典を準備します。一周忌の法要に関する基礎知識と併せて香典の意味についてご紹介致します。一周忌の法要とは、故人が亡くなってから満一年の命日に営む年忌法要です。参列者が故人を偲び供養することが法要の目的であるため一周忌の法要では、親族や知人・友人が集まります。住職による読経や焼香の後、参列者でお墓参りをしてお斎という会食を取ります。一周忌の法要に招かれた場合にはマナーとして香典を用意しておきましょう。お通夜や葬儀に参列した人も別途香典を用意します。元来、香典は弔意を表すと共に相互扶助としての役割を担っていました。その点を踏まえると一周忌の法要ではお通夜や葬儀とは別の費用が発生する以上、参列者は香典を渡す必要があります。なお、法要の案内状に香典辞退の旨が記されている場合、香典を無理にお供えする必要はありません。供花やお供え物などを持参し、弔意を表しましょう。案内状に「ご厚志辞退」とあれば香典だけでなく供花やお供え物も辞退されています。参列して焼香を上げ弔意を示しましょう。
相場や郵送する場合について
一周忌の香典に包む目安については、あくまでも目安であり地域柄や関係性によっても大きく変わる上、場合によっては御香典ではなくお供え物で対応することがあることもありますので注意が必要です。
一周忌法要の参列者は御香典として1万円から3万円を包むのが一般的です。故人との付き合いの深さなどで同じ立場であっても多少金額が変わってくることもあるでしょう。故人との関係性に応じて金額を設定しても問題ないというのがポイントです。また、親子など関係が特に深い場合はそれ以上を包むことも珍しくありません。無理のない範囲で出すということを意識しましょう。もちろん、未成年の場合は出さなくても問題ありません。成人していても大学生だったりまだ社会に出ていなかったり、経済的に自立していない場合も同様です。身近の大人の方に判断を仰ぐことでトラブルへの発展を未然に防げるでしょう。どのくらいの金額を包めばよいのかわからないという場合は周囲の方に相談しましょう。同じ立場にいる方に相談し金額を合わせておくというのが一番無難でしょう。
世情などの影響で、一周忌を遺族だけで行うというケースも近年では少なくはありません。遺族のみの小規模な一周忌法要であっても参列するのであれば香典は必要です。僧侶を呼んだり食事を用意したりするので、どんなに小規模であったとしても法事にはそれなりの費用がかかりますので御香典を用意するのが一般的です。一周忌に参列できない場合であっても、御香典を用意しましょう。当日参列しないとしても御香典をあらかじめ渡し当日は離れた場所から手を合わせる気持ちをもつことが大切です。直接出向けない場合は、御香典やお供え物を郵送する必要があります。
御香典を送る際は現金書留で御香典を送る場合は必ず現金書留を選択しましょう。現金書留の封筒は郵便局に行くと用意されていますし、多くの金封は現金書留封筒にそのまま入れられます。郵送であってもきちんと御香典袋に入れて送るようにしましょう。また、香典を郵送する場合は手紙も同封するのがマナーとされています。手紙には遺族に対する労いの気持ちと故人への思いを記すのが一般的です。また、参列できない理由と謝罪をしたためると良いでしょう。
香典の他に供物を送る場合は宅配便などで問題ありません。供物は果物やお菓子・線香などが一般的で、お花を選択する場合もあります。果物はその時期に旬を迎えるものを選びましょう。果物は仏様に季節を知らせることができる供物なので喜ばれることが多いお供え物です。また、故人をイメージするものや故人が好きだったものを選んでも良いでしょう。一周忌は故人に関係のある方が故人との思い出を語り合う場でもあるので、とても喜ばれます。しかし、肉や魚などの殺生を連想させるものは避けましょう。ハムなどの加工品であっても同様の理由でマナー違反です。故人が好きなものだったから送りたいという場合は、施主に確認を取りましょう。
一周忌の香典袋について
一周忌の香典袋は「御霊前」を選択してはいけない法事です。一周忌の場合の御香典は「御仏前」や「御香典」「御香料」を選択するのが一般的だと覚えておきましょう。仏教の多くの宗派では、四十九日までは故人が霊魂として存在すると考えられていることから、その期間には「御霊前」という表書きが用いられます。四十九日以降は仏になると考えられているので、「御仏前」という表書きが多く使用されます。また霊魂という考え方をしない浄土真宗では御霊前は用いません。もし適切な言葉がわからない場合は「御香典」や「御香料」を使用するとよいでしょう。これらはどのタイミングで使用しても失礼にならない万能な御香典袋なので「仏教徒なのは確実だけど宗派が分からない」という場合に活用できます。
それでは香典袋を購入する際の注意点をご紹介致します。まず、金封に施されている水引にはいくつかの種類がありますので注意が必要です。弔事に用いる御香典袋は水引が黒白・双銀・黄白の結び切りで中に入れる金額に合わせて形状を選択する必要があります。5,000円程度を包む場合は水引が袋にプリントされたもの選び、1万円以上包む場合は印刷ではなく水引が付いたものを選びましょう。香典袋はコンビニや100円ショップ・文具雑貨店などでも購入が可能です。表書きに前もってプリントされているものが多く売られているかと思いますが、プリントされているものから選ぶ際には以下の点に注意しなければなりません。
一周忌の御香典袋には遺族に包んだ人の情報を伝えるために書き入れるべき事が多くあります。一周忌も基本的には他の法要と変わりはありませんので、同じ法則で記載していれば失礼になることはありませんので、御香典袋の外袋表面には包んだ人の名前をフルネームで記載しましょう。書く場所は水引の下の中央部分、縦書きです。表書きよりも少しだけ小さな字で書き入れます。楷書体で丁寧に読みやすくという点に留意して書きましょう。金額を書く際には必ず「大字」を使用しましょう。大字とは「一」や「三」のような普段使用する漢数字ではなく「壱」や「参」のように改ざんを防ぐために用いられる数字の書き方のことです。千は「阡」、万は「萬」とそれぞれ対応する漢字があるため確認しておきましょう。金額の前には「金」後には「也」を書き入れます。金額を書く場所は、袋の形状によってさまざまです。中袋がある場合には中袋の表面中央に縦書きで書き入れます。中袋がない場合には御香典袋の裏側、左下に書き入れましょう。また、枠があらかじめある場合はその書式に従って記入します。その場合は横書きで書いて構いません。